明石市民フォーラム

第15回「どうなる?明石市立市民病院」Q&A

なぜ明石市立市民病院は市立から独立行政法人になったのですか?
これは政府が平成19年に打ち出した方針がきっかけとなっています。
平成19年6月19日閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007について」の中で、社会保障改革の一環として公立病院改革に取り組むことが明記されました。つまり政府によって公立病院改革が行われるということです。この改革は自治体を管轄する総務省が担当することになりました。そこで総務省は全国の自治体に対して「公立病院改革ガイドライン」を示し、改革プランを提示しました。プランは一つではなく複数あります。明石市立市民病院は複数のプランの中から「地方独立行政法人化」(非公務員型)を選択しました。
それでは何故、公立病院改革を行う必要があったのですか。
公立病院は地域の医療の中心を担っている基幹病院です。しかし近年では多くの公立病院で医療費削減のあおりを受けて経営状態が悪化、また研修医制度が変わったことをきっかけとする医師不足に伴い診療体制が縮小を余儀なくされるなど、その経営環境や診療体制の維持が大変難しい状況になっています。さらに小泉改革による地方交付金削減のため通常国会(第166回)で公立病院はいっそうの健全経営を行うことを求められました。
このように、いくつもの要因が重なり公立病院改革という抜本的な改革の実施が避けられない状況となったためです。
公立病院改革ガイドラインはいつできたのですか?
平成19年です。A1.をご参照ください。
厚生労働省(以下、厚労省と略)ではなく、総務省がガイドラインを作ったのですね。
はい、そうです。病院に関するガイドラインですから、厚労省が作成したと思った方もいるかもしれません。しかし、これはあくまでも公立病院の経営改革です。つまり自治体組織の経営改革と言い換えることができます。ですので、総務省が管轄となります。この点はガイドラインを理解する上でポイントとも言えます。

第12回フォーラムの様子1 第12回フォーラムの様子2 第12回フォーラムの様子3 第12回フォーラムの様子4

明石市内で公立病院改革ガイドラインの対象となる病院は、明石市立市民病院というわけですね。
市が関与するのは明石市立市民病院です。他に県立がんセンターがあります。
なるほど。さきほど、病院改革プランには複数のプランがあると聞きました。他の公立病院はどんなプランを選択していますか。
明石市立市民病院と同じように独立行政法人化した病院もあります。
他には複数の病院が統合再編されるケース、市民病院という形態で改革を行っている公立病院もあります。以下に例をあげます。
  • 県立尼崎病院と県立塚口病院の統合 → 平成26年度に新病院が開設される予定です。
  • 三木市と小野市の市民病院が統合 → 新病院が平成25年開設の予定です。
  • 旧加古川市民病院と旧神鋼加古川病院が統合・再編 → 現在では加古川西市民病院と加古川東市民病院になりました。ここは更に一つに統合されることになっています。
  • 高砂市民病院 → 市民病院のままで再編を行い、病院改革を行っています。
    他県では病院を診療所に縮小したり、民間に経営を移行した所もあります。
独立行政法人と公立病院はどう違うのですか。
独立行政法人とは、民間病院と同じような形態です。勤務している人々の身分は公務員ではなくなります。ただし、公立病院から移行する3年間は公務員の給与体系となります。また、独立行政法人は主務大臣の定める中期目標に応じて中期計画を作り、業務を行います。目標と計画を作成する理由は、改革を行い目標が達成されたかどうか評価を行うためでもあります。経営については原則として外部の監査を受けます。こうして運営の客観性を持つことも独立行政法人の1つの目的でもあります。
独立行政法人が民間病院と同じ運営形態になるならば、利益優先となり不採算部門は縮小したり、無くなったりするのではないですか。
その可能性はあります。医療機関の不採算部門といえば小児科、産婦人科、救急科などです。これら不採算部門が大幅に縮小したり、無くなる可能性はあると考えます。現在、市民病院は独立行政法人ですが、完全に民間委譲した場合にはその可能性は確実にあると考えます。
市民病院なので、明石市の市税も投入されていると思うのですが主な収入は何ですか。
病院の収入の大半は診療による収益です。市税ではありません。ここを誤解されている市民が多いようです。赤字に対しては市からの補てんがあります。
財政的な面を改善していくことが重要だとわかりました。さらに病院で働く医師が減っていることも問題だと思います。全国的にも医師不足が長い間、問題となっていますが明石市では医師不足解消策はあるのでしょうか。
解消策の一つとして医学生に対する奨学金制度を設けています。
正しくは「医師修学等資金貸与制度」と言います。将来、貸与期間に相当する期間を明石市立市民病院で医師として勤務した場合、返還が免除されます。

公立病院改革に関する疑問、質問は総務省自治財政局 準公営企業室 FAX:03-5253-5644 まで