第14回「ここまで進んだがん治療」Q&A
近年のがんの死亡率はどうなっていますか。 | ![]() |
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主要な病気の死亡率に比べても増加の一途をたどっています。 | |
がんは早期に発見すれば治りますか。 | ![]() |
がんのできる部位により多少の差はありますが、早期に発見することで治癒の可能性が高くなります。がんが局所にとどまっている場合は、胃がんや大腸がん、乳がん、子宮がんなどでは5年後の生存率は90%以上です。 | |
がんの早期症状はどのようなものですか。 | |
がんは早期には症状がありません。治癒に結びつけるためには症状の無い時点での発見が大事です。 | |
症状の無い時点での発見にはどうすればいいですか。 | |
やはり「がん検診」を受ける必要があります。明石市では各種がん検診として、胃がんではバリウムによる胃X線直接撮影、大腸がんでは検便検査(便鮮血2日間)、肺がんは胸部X線直接撮影、乳がんでは視触診とマンモグラフィ、子宮がんでは細胞診を行っています。対象者、実施医療機関、受診方法、料金等は市のホームページ http://www.city.akashi.hyogo.jp/hoken_kenkou/kenkou_ka/g3_ken_kanri/seijinkenkou.html あるいは健康推進課へお問い合わせください。 |
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明石市のがん検診の受診状況はどうですか。 | ![]() |
明石市は県や全国に比べるとがん検診の受診率はよくないようです。 | |
がんになりやすい人はいるのですか。 | ![]() |
消化器系のがんはいずれも中年の男性に多いようです。その他の危険因子としては、食道がんでは喫煙と飲酒、特にお酒を飲んで赤くなる人はALDH2という酵素の低下により、食道やのどのがんの危険性が高くなります。胃がんでは喫煙と食塩摂取に加えピロリ菌感染が大きく関与しています。大腸がんでは危険度に関係する因子は多いのですが、増加因子として高脂肪・高蛋白食、肉類、砂糖、卵、家族歴、葉巻などが、減少因子として高繊維食、野菜・果物、海産物、運動などがあげられます。 | |
検診以外で早期診断にはどのような方法がありますか。 | ![]() |
消化管の内視鏡検査では、特別な色素の散布に加え、拡大観察や特殊な光線による画像強調観察(NBI)などが早期発見、範囲診断に有用です。 また、ピロリ菌感染と胃の萎縮の程度を示すマーカーとの組み合わせにより、胃透視に変わる検診も検討されています。 |
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早期発見すると内視鏡で治療が可能なのですか。 | ![]() ![]() |
がんは進行すると胃や腸の壁に深く侵入し、周辺のリンパ節にがんが飛び(転移)ます。そうなると内視鏡だけでは残さず切り取ることができません。がんがある程度の大きさまでで粘膜の中にとどまっていると、リンパ節にも転移していないため、内視鏡だけで完全な切除が期待できます。![]() |
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内視鏡でどうやってがんをとるのですか。 | ![]() |
大きく分けて二つ方法があります。一つはEMR(内視鏡的粘膜切除術)という方法で、病変部に金属の輪っかを引っ掛けて高周波電流を流して焼切る方法です。大きさが2cm程度までのがんが対象となります。もう一つの方法はESD(内視鏡的粘膜はく離術)で、様々な電気メスを使って、胃の表面を切りはがしてゆく方法です。 この方法ではがんが粘膜の浅いところにとどまっている限り大きさに制限はありません。 |
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内視鏡で取れない場合は手術になるのですね。 | |
内視鏡か手術かどちらの方法が適切かは検査の時点である程度予想が可能です。内視鏡で切除後に切り取ったがんを顕微鏡で調べて、手術前の予想より進んでいる場合は追加の手術も必要となります。 | |
手術は楽になったのでしょうか。 | ![]() ![]() |
現在は腹腔鏡という特殊なカメラや器具を使って、おなかを大きく切らずにがんを切除する鏡視下手術が主流となってきました。 この手術のメリットは傷が小さくきれい、痛くなく楽で早く退院できる、合併症が減るなどです。手術から治るためには3つの力が必要です。 つまり、 (1)とった部分を治す力 (2)つないだところを治す力 (3)切開した部分を治す力 です。 内視鏡を使った手術では、3番目の力が少なくて済むため、全体として通常のおなかを大きく切る手術より負担が少なくて済みます。 |
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手術ができない場合は抗がん剤治療ですね。 | |
血液のがんのように最初から全身に広がっている場合や、もとのがんがあった場所から肺や肝臓など他の臓器に転移している場合には、いわゆる抗がん剤による治療が中心になります。また、手術と放射線と抗がん剤を組み合わせる治療方法も一般的です。 | |
抗がん剤は効果が少ないのではありませんか。 | ![]() |
抗がん剤による治療に対する反応は様々です。病気によっては抗がん剤のみで治癒が得られ、発病前と変わらない生活ができる患者さんも少なくありません。特に白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液悪性疾患に有効な場合が増え、胃がんや大腸がん、乳がんなどの目に見えるいわゆる固形がんであっても、症状緩和や延命が期待できます。 | |
抗がん剤での治療は副作用がつらいと聞きます。 | |
確かに副作用が無いということはありませんが、今は支持療法(制吐剤、G-CSF製剤、抗生物質)の進歩により副作用もかなり減って軽くなっています。 | |
新しい抗がん剤の状況はどうですか。 | ![]() |
最近の化学療法の進歩をもたらしたのは分子標的薬の登場です。 分子標的薬はがん細胞に特徴的な蛋白やがん細胞の増殖に重要な役割を果たす蛋白を標的にしてがん細胞を攻撃する薬剤です。これらによる治療により治療成績は良くなりましたが、特に慢性骨髄性白血病におけるイマニチブ、B細胞性リンパ腫におけるリツキシマブによる治療は、5年生存率を著明に改善させ、長期にわたり日常生活に支障のない状態を維持している患者さんも珍しくありません。 |
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最近の抗がん剤は値段が高いと聞きます。 | ![]() |
1錠が2‐3千円の薬から、5万円以上の分子標的薬まで様々で、中には250万円以上の注射薬もあります。 そのため健康保険が適応される薬でも、患者さん負担(窓口での支払額)が高くなる場合が多いのです。しかしそのような場合は「高額療養費制度」によって負担が少なくなります。 http://www.city.akashi.hyogo.jp/hoken_kenkou/kokuho_ka/ g3_kokuho/060929_kokuho.html また、厚労省のホームページにも詳しい資料があります。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/ 100714a.pdf 明石市の国保の場合は、高額療養費に該当する世帯は通知がありますが、詳しいことは国民健康保険課にお問い合わせください。会社にお勤めの方はお勤めの会社やその保険者にお問い合わせください。 |
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外国で使われている薬は使えますか。 | |
現在の制度では、まだ日本では認められていない薬や治療法は保険適応にならず、自費で高いお金を上乗せして治療を受けなければなりません(いわゆる混合診療です)。保険の適応になれば高額療養費制度が使え、負担は相当低くなります。やはり効果のある薬や治療法は早く健康保険の適応とし、誰もが同じように少ない負担で最適な治療が受けられるようにしたいものです。 | |
他にも聞きたいことが多いのですが、どうすればいいですか。 | |
現在治療中の方は主治医の先生やかかりつけの先生にご相談されるのが一番だと思います。相談しにくいからと言って、無責任で不確実な情報には惑わされないようにしたいものです。 兵庫県立がんセンターでは、がんでお悩みの患者さんやご家族、その他の県民の皆さんの方々に利用していただける窓口として、「がん相談支援センター」を整備しておりますのでご利用ください。 http://www.hyogo-cc.jp/cancer/support/ また、日本対がん協会の無料電話相談「がん相談ホットライン」に問い合わせする方法もありますのでご利用ください。 http://www.jcancer.jp/advisement/hotline/ |