明石市民フォーラム

第3回「変貌する医療保障を考える」

~今後の医療保険制度はどうあるべきなのか~

1.開会挨拶明石市医師会 会長 姉崎赳夫 氏
2.特別講演『健康と政治のかかわりについて』
  講 師 :
  座 長 :
参議院議員 武見敬三 氏
明石市医師会 会長 姉崎赳夫 氏
3.基調講演『驚くべき日本の医療と医療人の真の姿』
~本当の情報を子供達に伝えよう~
  講 師 :
  座 長 :
日本医師会総合政策研究機構 研究部長 石原 謙 氏
明石市医師会 理事 尾松芳輝 氏
4.シンポジウム『変貌する医療保障を考える』
~今後の医療保険制度はどうあるべきなのか~
シンポジスト:1)参議院議員 武見敬三 氏
2)日本医師会総合政策研究機構 研究部長 石原 謙 氏
3)明石市市議会 議長 冨田賢治 氏
4)明石市医師会 理事 橋本 寛 氏
  日 時 :平成14年10月3日(木)
午後2時より4時50分
  会 場 :明石市民会館 中ホール
  入 場 :無料

第二次世界大戦終戦後、日本は全てを失ったどん底の状態から国民一丸となって戦後復興を成し遂げた。人口問題も抱えていない時期で、高度経済成長にも支えられ、生活基盤がめざましく改善されてきた。医療保障については、国民皆保険が達成され、平均寿命が伸び続けついに世界最長寿国となった。この業績によって日本の医療保険制度は、世界の注目の的となった。世界的に見てかなり低いコストで、高い水準の医療が提供されているからである。一部大病院の外来診療などに関しては3時間待ちの3分間診療という批判もきかれるが、世界の医療事情から見ると、かなり質の高い医療が全国民に対して平等に提供されていると思われる。

しかし今、日本は少子高齢化が急激に進んでおり、また経済成長はバブルの崩壊を受け低迷状態が続いている。出生率の低下による少子化と経済成長を支えてきた多くの労働人口が老年人口へと移動し、高齢化が急加速している。それに伴って、医療が必要となる頻度が増大し、老人医療にかかる費用は年々増加してきている。需要増による増加であり、物流商品のように単純に抑制をかけ、切り捨てることの出来るものではない。この医療を市場原理主義経済に委ねて、効率至上主義とし社会保障の概念から逸脱した経営を行おうとすることは、国民の基本的人権を侵すものであり、憲法違反に該当しかねない行為である。

我々は憲法に保障された基本的人権によって守られるはずであり、経済財政運営の失敗した巨額の負債の付け回しのために、社会保障分野の穴埋めを負わせる様な行為は、とうてい受け入れられない。これから高齢者が急速に増加し、その対策を真剣に考慮すべき時期に、行う施策ではない。高齢者対策そのものが大きな内需拡大として、経済活動を活性化する原動力になろうとして生まれようとする時期での社会保障縮小論は、一大産業の芽を摘んでしまおうとするものである。医療関連産業が生み出す人材雇用効果、経済波及効果は、現在の物品製造産業よりもはるかに大きな活性能力を秘めていると思われる。いまこそ健康増進や予防医学関連の事業展開を拡大させると伴に、介護や医療関連産業に投資すべきと考える。健康な国民を有することこそが国際競争力を高め、世界経済を牽引する能力を高めることになると思われる。

我々は今後の医療制度がどうあるべきなのか、一国民の視点立った上で真剣な議論を展開し、将来に禍根を残さないような、皆が支持できる制度構築を模索したい。草の根からの出発によりボトムアップできる提言を行うことが、今回のシンポジウムのねらいである。市民と伴に忌憚のない意見を交わすことにより、真に必要な医療施策は何なのかを浮き彫りにしたい。

主催:(社)明石市医師会